大崎のぶゆきは1975年大阪生まれ。京都市立芸術大学では版画専攻し、2000年に修士課程を修了しました。在学中にセルフポートレイトを用いた作品から出発し、自身を取り巻く世界や認識への興味、そして自身が感じる「曖昧な世界」「リアリティの不確かさ」を表現することを探求しはじめた大崎は、この世界観を表現するために様々な方法、例えば立体、インスタレーション、絵画、写真など多岐に及ぶ作品を展開してきました。ドイツ・デュッセルドルフでの滞在制作を経て、現在は大崎独自の技法による「溶ける絵画」を中心に取り組んでいます。
これまでに「新・公募 Re-Act 」広島市現代美術館(2007)、「京都芸術センター公募2008 」京都芸術センター、「drowning room」神戸アートビレッジセンター(2009)などの出展作家として西日本を中心に活躍してきましたが、このたび東京での待望の個展となります。
展示作品について
大崎は「認識する」ことと「見ること」との2つの境界の「間」を考察し、「メタリアル/メタフィクション」という現代社会における私たちを取り巻く状況から「描かれたイメージが溶ける」という、独自でかつオリジナルの方法を用いて、この世界の「リアリティの不確かさ」を明らかにしようと試みています。本展では、三大世界の滝(ナイアガラ/ヴィクトリア/イグアスの滝)を合成した「滝」を元にして描いた新作の映像インスタレーション「World falls/Swimming the world」と、2009年にドイツで発表された、少女の画像を引用した「water drawing - Phantom」ほかを展示いたします。
「World falls/Swimming the world」では描かれた「大滝」のイメージ上に遊んでいるかの様にコラージュされた人形が、イメージが溶けて行く中でそれらの人形も落ちて行くというシニカルなイメージの映像ですが、私たちが「知っている(と思っている)」既視感のある世界や風景の中で「実は本当は知らない」という事実と、そのような曖昧な認識世界の中で生きる私たちのリアリティの所在を表現しています。
また、「water drawing」シリーズは、水面上でドローイングが表面張力で引き裂かれゆっくりと溶け出していくイメージの連続で構成される映像や写真作品ですが、「Phantom」とは「幽霊/亡霊」の意味であり、モチーフになっている少女達は雑誌やインターネットから集められ、彼女達を情報やデータ、イメージとして永遠の空間を浮遊する永遠の少女である「ゾンビ」と捉えモチーフとしています。
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