東京都写真美術館では1998年11月に「ラヴズ・ボディ ヌード写真の近現代」と題した展覧会を開催し大きな反響を呼びました。男性のエロスや性幻想の表象として描く従来のヌード写真を批判的に検証し、生と死と性をめぐる広汎で複雑な身体表現の可能性を探る試みでした。この展覧会では多くの主題が浮上しましたが、その中でもエイズに関する問題提起は重要なもののひとつでした。
そして2010年。美術や写真の側面に大きな変化を与えるほどに影響力を持つエイズをテーマに「ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現」を開催します。
エイズをめぐる作品は、1980年代から現在まで、特に欧米を中心に非常に多く制作されています。とりわけ「エイズ・パニック」が巻き起こった1980年代後半から90年前半にかけては、エイズは多くのアーティストの命を奪っただけではなく、エイズをめぐってあぶり出された社会的偏見や差別に対する反応の中から様々な作品が生まれました。エイズを抱えた多くのアーティストがエイズに向き合いながら制作し、この「社会的病」を自分たちの問題として捉え、セクシュアリティや他者表現、身体表象、アートと政治の問題などを新たな表現の可能性の中で考えようとする試みが続けられています。
「ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現」展は、そうした作品の意味を検証し問い直す試みです。1980年代から現在まで、新作も含め、8人の国内外作家を紹介します。
ウィリアム・ヤン《アラン》 1989-90年
東京都写真美術館蔵
〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3
恵比寿ガーデンプレイス内
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