木版画の手法で日本の歴史を独自に検証する風間への注目は年々高まり、今春からはじまった読売新聞文化欄での「解題新書」への挿画連載、今秋公開となるドキュメンタリー映画「ANPO」(リンダ・ホーグランド監督)へ出演するなど、その活躍のフィールドは展覧会開催・参加以外にも益々幅広いものとなっています。
本展では、風間が以前から家で飼っていた「ホトケドジョウ」を主人公にした、ヘルメットをかぶったドジョウ兵士「ドジョ兵」が主人公の、4コマ版画(マンガ)「ドジョ戦記」の新シリーズを展開します。
新シリーズとなるこの『水がヌルくて死にそうです。』は、1枚16コマで1話の構成となり、全12話(12枚)の原画を展示します。メダカの少年兵はじめナマズの隊長コイやフナなど、新しい淡水魚キャラクターたちも登場してストーリーを盛り上げます。
『水がヌルくて死にそうです。』に登場するキャラクターは全て、風間の目玉プロダクトとしてハンコ(スタンプ)として商品化され、展覧会に併せてお披露目されます(風間自身もそのハンコを使ってマンガを作り上げています)。その他にも、ドジョ兵の手ぬぐいや風間作品がプリントされた最新Tシャツなど、風間関連プロダクトを賑やかに展示販売いたします。
また、同時開催される無人島プロダクションでの風間サチコ展『平成博2010』では、戦前・戦中の地方博覧会の国策・啓蒙パビリオンを下敷きに、現代におけるおもしろパビリオンを発表します。太平洋戦争前、そして戦時中にも日本各地では「国産振興博覧会」や「観光産業博覧会」「国際温泉観光博」「大東亜建設博覧会」「国防科学大博覧会」など国防や産業、そして軍事博覧会にいたるまで数多くの博覧会が開催されてきました。自らがそういった博覧会の絵葉書コレクターである風間が、過去の歴史的背景の中で作られた博覧会やパビリオン建築の様式を平成の現代社会におきかえた形で、架空のパビリオンを創造しました。
バブル景気や世間をにぎわせた犯罪、政治など平成になってからの20年におきた社会の変動を、風間の作品を観ながら振り返ります。
シリアスな事象をユーモアでみせるという手法は変わらずに、表現タイプがまったく違う2つの展覧会をご覧いただくことで、さらに風間サチコの幅の広さ、奥行を感じていただけることと思います。
ラムフロム・ザ・コンセプトストア
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