和田典子(1980年愛知県生まれ)は、2005年に京都市立芸術大学大学院を修了後しばらくは主に立体作品を制作してきました。ここ数年はペインティング作品を中心に発表しています。
リボンや、少女の部屋をモチーフに描かれたこれらのペインティング作品は、カラフルでうねるような線によって描かれています。少女が中に隠れているというベッドやソファの上に置かれたシーツは、色とりどりのストライプで描かれることによって、ごそごそと動いているように見えます。
和田の作品は過去の記憶からのとりとめのない空想と、子供の頃に感じた日常の些細な出来事から誘発される不安感がもとになっています。この不安は妄想することによって膨張していくのですが、それは恐ろしいものとはならずに、漠然と心にいつまでも棲みつくようなものとなっていくのです。展覧会タイトルの「Fancy dim light」は、恐怖を感じさせるような陰鬱な闇ではなく、ほんのりとした薄明かりとぼんやりとした不安のなかで繰り返される、とりとめのない空想を意味しています。
2010年のVOCA展に選出され、今後の活躍が期待される和田典子の初めての東京での個展を是非ご高覧ください。
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