少しずつ変化していく事。中心から少しずつ円を外に向かって描いていくように大きくなろうと思っていた。
日常というものを中心に据えるのであれば、そこを巡回する衛星のような。
ひたすら離れず回り続けるものもあれば
ぐるぐると回りながら時には役割を終え軌道からはずれていく物もある。
それは大きな意味での自分というメタファーでもある。
- 石川結介 -
石川結介は1977年生まれ、東京芸術大学油絵科を卒業後、ウォールペインティングを中心に活動。現在は千葉を拠点に制作をしています。
2008年、レントゲンヴェルケが現在の馬喰町に移転した際は、新スペースのこけら落としともなった初個展で壁いっぱいのダイヤモンドを描き、鮮烈な印象を残しました。
今回、およそ2年半ぶりとなる東京での個展では、自らの原点である宝石をモチーフとした壁画作品を中心として構成しながらも、作家にとって新たな試みとなる、鏡を宝石へと見立てた立体作品も展示いたします。観客の動きによってその表情を変え、同時に壁面に描かれた宝石のイメージをも取り込んでまばゆく反射 する姿は、その構造ゆえ宝石の持つ美しさをゆがめて映し出します。モノとしての宝石の持つ美しさ、さらにはそれが描かれた時に放つ美しさ。あたかも観賞する我々自身の、ものの価値や美の基準に対する曖昧な認識さえ、映し出すかのようです。
今回の個展では、他にペインティング、コラージュ等の作品を展示。自らの核となる部分を保持しながら、新たな試みとのインタラクティブな効果を狙う作家の姿勢が読み取れます。
壁3面を使用する、迫り来るような迫力を持つ宝石たちは、展覧会終了と同時に消える運命を持つ儚き存在でもあります。この機会に、ぜひともご高覧下さい。
〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
TEL: 03-3662-2666