石上純也(1974年生まれ)が、5種類の模型を中心とした展覧会を計画しています。展示されるそれぞれの模型は、単なる模型であることを超えて、その場所に具体的な空間をかたちづくる建築でもあります。それらの模型を通して私たちは、今ある現実の世界と、その模型から垣間見えるこれから出現するかもしれない世界とを重ね合わせます。そうするとそこには、いままで体験したことのない透明さ、軽やかさ、繊細さ、あいまいさが新しい抽象性とともに現れてきます。そして私たちは、極大と極小の両極に同時に向かう無限の空間の広がりを把握する手段を見出すのです。
「建築のあたらしい大きさ」―いま私たちは、かつてないスケールの生活環境を必要としています。小さくもあり大きくもあるようなもの。これからの時代の価値観に対応したあたらしい大きさの空間。いままでのスケール感を超え、私たちをとりまきどこまでも続く環境と、私たちの生活の器である空間を連続させ、建築をより自由なものにしていくことができないかと石上は考えます。
石上純也は、2008年のヴェネツィア・ビエンナーレ建築展で日本館代表に選ばれ、2009年に日本建築学会賞を受賞した、現在最も注目されている建築家です。石上の手がける仕事は、すべて建築の可能性を考えるうえで導き出されています。それは、今ある世界をいかにして少しでも広げていけるかということにあるのです。
《神奈川工科大学KAIT工房》 2008年
《little gardens》 2007-2008年
《little gardens》(部分) 2007-2008年
『plants and architecture』より 2007年
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