子どもから大人まで、世界中の人々から愛され続けているピーターラビットの物語。その作者ビアトリクス・ポター(1866-1943)の世界をご紹介します。
イギリス・ロンドンの裕福な家庭に生まれたポターは、幼い頃から絵を描くことが大好きで、飼っていたさまざまな小動物や、避暑地として訪れた自然豊かな湖水地方の風景、そこで出会った動植物をスケッチし、水彩で描きました。それらの絵画はいずれも対象を正確に写実するという博物学的探究心に裏打ちされていました。ピーターラビットをはじめとする愛らしいキャラクターや魅力あふれる絵本は、こうした丹念な自然観察と、自然への深い愛によって生み出されたのです。
『こぶたのピグリン・ブランドのおはなし』ピグリン・ブランドとアレクサンダーの下絵
1910年
国立ヴィクトリア アンド アルバート美術館蔵
The Trustees of the Linder Collection
Reproduced by permission of Frederick Warne & Co.
絵本作家として成功したポターは、後年農業や自然保護への関心を深め、彼女の愛すべき生き物たちが安心して過ごせるよう、私財を投じてその保護に奔走します。
今回の展覧会は、絵本作家としての活動とともに、これまであまり紹介されることのなかった風景や動植物の水彩画、スケッチ、貴重な初版本などにより、ポターの画業をたどります。また、女性にとって社会的制約が多いヴィクトリア朝時代において、経済的に自立し、環境保護活動に尽力したポターの生き方もあわせて紹介します。
『のねずみチュウチュウおくさんのおはなし』チュウチュウおくさんとハサミムシの下絵
国立ヴィクトリア アンド アルバート美術館蔵
The Trustees of the Linder Collection
Reproduced by permission of Frederick Warne & Co.
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