マット・ハンセルは1977年アメリカ・ウェストバージア州生まれ。ニューヨークシティの名門芸術大学クーパーユニオンに入学し油絵を学びました。B.A. 取得後はイェール大学芸術大学院に進学し、2001年にMFAを修了。現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に制作し、NYやLAのいくつかのギャラリーで発表してきました。日本では「アートフェア東京2010」のYUKA CONTEMPORARYブースで出展した大型の油彩画が本邦初の公開となり、好評を得ました。
南北戦争の戦場やその他の史跡が数多く残るウェストバージニア州に生まれ育ち、歴史愛好家の父親から影響を受けたハンセルは、新たな事実の発覚によって日々塗り替えられてゆく歴史の不確かさや矛盾に興味を持ったと言います。この経験が近年の作品に強いインスピレーションを与え、「歴史」あるいは「過去・現在・未来」の可鍛性をテーマに現在制作に取り組んでいます。マット・ハンセルの作品は、リアリスムとイリュージョンが交錯した具象表現が特徴です。人物像や建造物の色彩は遠近感は時に奇妙に配置されており、場所や時間が特定されていないことを示唆しています。ハンセルが描くこれらの架空の歴史のナラティブでは、過去・現在・未来の境界線が曖昧に描かれています。
英語の文脈で、"to fly one's colors" とは英語で「プライドをもって自身の旗を揚げる」という意味を持ちます。また、優勢に物事を成し遂げるさまを"with flying colors" と表現します。本展のタイトルにもなっている「With Flying Colors」とは、これら二つの意味を合わせたものです。今回の個展では、新作のドローイング約10点とナイロン地に描かれた旗ドローイング「Flag」を数点、インスタレーション形式で展示する予定です。カラフルに彩られたマット・ハンセルのユニークな世界を是非お楽しみください。
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