梶井が佐渡島で荒々しい日本海に対峙し、その迫力と美しさで圧倒した「NAMI」を発表したのは2004年。 その撮影中に発見したのは、太古から私たちに密接な存在であり、山から麓へ、 果ては壮大な海へと一方向的な流れのままに姿を変える川でした。
新潟で僧侶をするかたわら、その波の写真を撮り続けてきた梶井はあるとき、 一筋の小川と出会い、これまで撮影してきた寄せてはかえす波とは異なる、 「川」という存在に新たな水の表情を見つけます。 以後6年ものあいだ、新潟や山梨、イグアスの滝、中国、オーストラリア、カナダ、モロッコ、南米など世界各地を歩き、 さまざまな川の撮影を続けてきました。
川を撮影し続けた時間は、梶井にとって「見つめる」ことの連続だったと言います。
その対象に真摯に向かい合い、撮影を続ける行為は、読経のように一貫して自分自身を見つめ、向き合うことでもありました。
そうして本質を見極めながら写真にとどめられた「川」は、さまざまに水の姿を変え、見るものの胸を打ちます。 また、その作品に向かい合ったとき、その川とともに流れる、時の流れに思いを馳せるでしょう。
写真集『KAWA』(フォイル)も同時刊行予定です。
どうぞこの機会にご高覧下さいますよう、お願い申し上げます。
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