志摩薫子は日本人の女性作家で、ジェンダーをコンセプトにした作品を制作し、映像、コラージュ、ペインティング、立体、インスタレーションと複数の表現手段を混ぜて展示を構成しています。個々の作品または展示全体を見ても、表現手段に関わらず、彼女の作品は複数のマテリアルが組み合わさっていることに気づきます。例えば、映像作品では実写やドローイングを混ぜて動画にする。布を複数縫い合わせてつくる椅子型の立体作品。雑誌の切り抜きを張り合わせたコラージュ。これらは、身体的にではなく、文化的役割における性別を考えたときに、男性的要素、女性的要素、どちらも一人の人間の中に存在するのではないか、どちらか一つの絶対的要素によらず、複数の要素が組み合わさって一人の人間になるのではないかということを考えさせます。またジェンダーと言う点だけではなく、時として一つのことに対してでさえ、自分の中にもたくさんの考え方が存在する、という点において、すべての人に当てはまるテーマでもあると思います。
個としての人間、集団としての人間、どちらを考えても、社会は複雑に多様化し、多様な価値観が存在しています。そしてその「社会の多様性」を受け入れていかなければならないこの時代に、志摩薫子の作品は象徴的であると感じます。
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