今回の個展のテーマは "The Unknown"(知られていない人)。
『expected identity』(予期されたアイデンティティー)と題された5点の油彩連作では、彼女が妊娠・出産を控えている時に感じた、
「人は胎児の時点からすでに国籍や両親・出生地など、すでに予期されたアイデンティティーを持ち合わせている」
という思いを作品にしています。
その他にも(胎内の)子どもと一心同体で、同じ経験を共有したことから着想を得たガラス絵の連作や、出産して新しい命を目の当たりにしたときの
「・・・自分から分裂して生まれた存在でも、私ではない」
という気持ちをもとに制作した油彩やドローイングを発表します。
結婚~妊娠~出産という、人生でもっとも重要な時に感じた思いを、どのようにして作品として表現し得たのか。
ぜひ、ご高覧ください。
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今年私は子供を出産しました。
"自分と他者"をテーマに作品を作ってきましたが、
あまりにも近い他者の登場で改めて考えることが沢山出てきたように思います。
もともと出産なんてよくある出来事くらいにしか思っていませんでしたが、
人間から人間が作られるとは、想像を超えてとてもショッキングな事でした。
まさに、「どこからやってきたのか?」という問いが頭の中をグルグル巡ります。
この世の中と新しい存在との接点として、私はまた色々な事を目撃していく事になるでしょう。
その経験は今までの私の"自分と他者"の形をより深めてくれると思います。
呉亜沙
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