泉イネ 「未完本姉妹 影の冬光」 MA2 Gallery
2010年7月 7日（水）～8月 7日（土）
日・月曜日、祝日休廊 12:00～19:00
MA2 Gallery
I was not a ring (third sister's ring as a motif)
【作品紹介】
この度は泉イネの個展、小山登美夫ギャラリーにて「未完本姉妹 影の春光」展を、MA2 Galleryにて「未完本姉妹 影の冬光」展を同時開催いたします。「紺泉」から「泉イネ」へ・・・泉が今回手がけた油彩画や「未完本姉妹」といったシリーズは、次々と新たな展開を見せています。
互いを知らない6人の女性たちは泉の呼びかけのもと、集まることとなりました。それぞれ知人である彼女たちの共通点、それは「本が好き」であるということで。そこで、彼女たちは「本姉妹」と名付けられました。お茶会で繰り広げられるのは、譜面の上で踊る音符のように弾む会話、ゆったりと流れる姉妹たちだけの時間・・・泉はそのひとつひとつを、まるで厚い本をそっと、めくるように丁寧に記録していきました。
【この展覧会について】
本展では「本姉妹」の映像や写真、姉妹の持ち物をモチーフにした絵画、「本姉妹」の集いを飾った空間をインスタレーション致します。
一見、それらは取り留めのないようにも見え、日常の断片を提示しただけのようにも見えるかもしれません。しかし、その見方は少し違っているでしょう。
なぜならば「本姉妹」という架空の物語を作り、切り取っていく作業は、ちょうど泉にとって、吸っては吐いてを繰り返す、呼吸のように当たり前のことであり、「生きている」ことそのものの証なのです。
たとえば、フィクションであったはずの「本姉妹」の物語は次第にリアリティーを増しています。
当初には見られなかった、「本が好き」ということとは別の側面が垣間見えるとも泉は言います。
もうひとつの「本姉妹」の物語が今、はじまろうとしているのかもしれません。
まさに泉にとって作品とは、完成させることに目的を置くのではなく、過去と今を、現実と虚構を、生と死を、往来するための作業なのです。
また、それらは決して別個のものとして存在しているのではなく、連なりとなって幾度となく循環しています。
泉の作品はその狭間の媒介者として私たちの目の前に姿を表しているのです。
今回の新作である、大胆な筆致と、淡い色使いで描かれた画面、「A scenery like a corsage or a demon／コサージュもしくは鬼のような風景」は、夜景と、人が立つ海辺の写真の組み合わせで描かれています。
そのぼんやりとしたイメージは、ちょうど残像のように私たちの記憶へと深く染み渡ります。
そして、観ている私たちの耳元でそっと囁くかのように、作品から軽やかな息づかいを感じとることができるのです。
MA2 Gallery
〒150-0031 東京都渋谷区恵比寿3-3-8
TEL:03-3444-1133
