野又穫(1955~)はカンヴァスの上に、空想の建造物を描き出す画家として知られています。
建築、絵画、デザインの3つのジャンルを共有するかのような野又の作品は、いわゆる「洋画」でも「現代美術」でもない、独自の視点で描かれた作品です。1986年に佐賀町エキジビットスペース(東京)の初個展が大きな反響を呼び、今日に至るまで数多くの個展や展覧会で紹介されています。ひと目で野又作品と分かる明快で独特な作風、斬新な作品の見せ方を提示する展覧会は様々なメディアでも紹介され、多くのファンを獲得してきました。
その作品は、人工的、機械的な建造物を描きながらも、どこか牧歌的な雰囲気を持ち、時にはSFファンタジーの舞台を思わせるものなど多様多層です。その魅力は画面に大きく描かれた建造物の美しさと、それらがまとっている背景や空気、不思議な気配にあるといってよいでしょう。
今回の展覧会は2004年の東京オペラシティアートギャラリーでの「カンヴァスに立つ建築」、2006年の新宿パークタワーでの「Visions 1993-2005」以来4年ぶりの、初期から最新の未発表作品までを紹介する大規模展覧会です。
本展は、はじめて野又穫の作品に触れる方々にも、これまでの展覧会を見たことのあるファンの方々にも、新鮮な発見や驚きをもってご覧いただけるよう、作家自身の展示構成により、発想の原点や制作の過程までも垣間見ることのできる展覧会を意図しています。
<Eastbound-1>1999年
〒370-1293 群馬県高崎市綿貫町992-1 群馬の森公園内
TEL:027-346-5560