河南省(かなんしょう)は、中国大陸を西から東へ流れる黄河の流域に位置する中国王朝発祥の地です。かつては幻の王朝とされ、近年中国最初の王朝であったとする説が有力となっている夏(か)の中心地は、河南省にありました。以後、商(しょう)(殷(いん))、東周(とうしゅう)、後漢(ごかん)、魏(ぎ)(三国時代)、西晋(せいしん)、北魏(ほくぎ)、北宋(ほくそう)などの王朝が河南省に都を置きました。夏が始まった紀元前2000年ごろから北宋が滅亡した12世紀ごろまで、河南省は中国の政治、経済、文化の中心地として栄えました。王朝、工芸技術、文字(漢字)など、中国文明を特徴づけるさまざまな要素が、この河南省で生まれ、発展したのです。
金製(きんせい)アクセサリー
洛陽博物館蔵
この展覧会は、三つのテーマで構成されます。第1部「王朝の誕生」では、文明の誕生と深い関わりをもつ古代王朝の誕生と展開の歴史を、王朝の権威を示す祭器や財宝によって明らかにします。第2部「技の誕生」では、豊かな暮らしへの願望から、中国文明の特色の一つである高度な工芸技術が次々に生まれていった様子を、精緻な工芸品によって示します。第3部「美の誕生」では、現実の世界や宗教的世界を表した書画、彫刻などによって、中国芸術の伝統が遠い昔に生まれ、発展してきたさまを示します。青銅器、金銀器、漆器、陶磁器、壁画、彫刻、文字資料など、約150件の名品を通じて、中国の歴史に思いをはせていただければ幸いです。
三彩舎利容器(さんさいしゃりようき)
河南博物院蔵
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