野老朝雄は1969年新宿区生まれ。東京造形大学で建築を専攻後、ロンドンのAAスクールに留学し、帰国後は建築、デザイン、アートの領域で活動を展開してきました。911以降、「繋げる」をテーマに、幾何学模様を用いた平面・造形作品を発表し始め、これらはトコロ紋、トコロ柄と呼ばれる紋と紋様で広く知られるようになりました。また、建築に関わるデザインとして、これまで阿部仁史アトリエ、みかんぐみ等、建築家との恊働で多くのプロジェクトに参加するほか、愛知万博トヨタパビリオンのキービジュアルデザインなども手がけています。主な展示に個展「Light Light」(2001年 横浜美術館アートギャラリー)、個展「Linkable Matters」(2007年 菅野美術館)などがありますが、2010年には、「MOT アニュアル2010:装飾」(東京都現代美術館)や「オープン・スペース2010」(ICC)の展示作家として選ばれるなど、建築との境界線を横断し、現代美術においても評価が高まっている希有な作家です。
展覧会について
野老は、数と図形の規則性を研究しながら造形美を追求している作家です。このため、作品には幾何学模様や記号化された単語などのイメージが組み合わさったものが多くあります。例えば、今回、平面作品として発表される「Kumapong(クマポン)」は、黄金律によって成立するクマの顔のドローイングです。円の配置によって様々な表情のクマポンが登場するだけでなく、黄金律と掛けて金箔が施された作品もあり、ユーモアが程よくミックスされた野老ワールドを展開しています。また、「Respect for Compass」と題する、コンパスの跡が残る図形のドローイングのシリーズでは、建築をバックボーンとする作家らしい繊細な横顔を垣間見る事ができます。
2010年1月から4月まで開催されていた「 MOTアニュアル2010:装飾」で出展された立体作品のシリーズを様々な角度から複写機でコピーした「BUILDVOID STUDY」(COPIED)など、野老が過去から現在まで手がけているプロジェクトを幾つか展示いたします。また、会期中は作家がワークインプログレスでの作品制作や、ゲストを招いたトークイベントを行う予定です。(作家来場およびイベントの日時・詳細はギャラリーウェブサイト www.yukacontemp.comにてご覧ください)
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