昨年「キャノン写真新世紀」で佳作を受賞し、現在は東北芸術工科大学大学院に在籍する竹原優。
彼女は異なるモチーフの写真を重ね合わせ一枚の写真を作り、その表面にニードルで傷を付ける事によって、一枚の絵画を作り出す。
一見暴力的ともとれるその手法によって産み落とされるのは、禍々しいまでの生命力が横溢するどこまでも絵画的な写真作品である。
異なる者同士を私の手で引き寄せることで、お互いの存在がぶつかり合い、
個を主張しはじめる。
すると、そこには新たな「命の姿」が浮かび上がってくるのだ。
暴力的な行為かもしれないが、私の手で異なる両者を引き寄せ、
出会わせることで新たな生命が宿り、そこに誕生する。
それは、まさに偶然を越えた「必然」的出会いだと私は考える。
また、生命の「繋ぎ目」や「環」としての役割を持つ女性性を捉えながら、
生命と自然とが循環していくエネルギーを形にしていきたいと考える。
新たな生命を創り出したいという衝動は、女性と自然という存在に繋がってゆく。
自然界のありとあらゆる物体と女性の顔や身体とを重ね合わせ融合させた作品からは、
そこに存在しようとする両者の生き物としての原始的なエネルギーが伝わってくる。
その力は時に穏やかに時に激しく、皮下で蠢き続けている。
見る者の根源的な衝動を駆り立てる彼女の宇宙に、是非触れて欲しい。
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