可能性。
この未来を予想する不確定な言葉。しかし、我々は常にそれを信じて、日々を生きている。
当然の事ながら生の終焉が近づけば近づく程、それは小さく、薄く、頼りなくなっていく。
とするならば、青年達にはより大きい、より強大な可能性があるはず。
だが、表現者における青年は年齢に左右されない。経験に左右されない。
明確な意志と技術を持っているならば、それは表現者としての青年である。
即ち、そこにはより大きい、より強大な可能性がある。
レントゲンヴェルケは彼ら青年の可能性をより世に知らしめるべく、一昨年より「メークリヒカイト」を開催している。
ここから羽ばたいた満田晴穂、高田姉妹をはじめとする若きアーティスト達の活躍は今や説明の要も無い。
レントゲンという名の画廊が東京に現れて19年となるこの6月、その3回目が開催される。今回の出展は、グループ展の最小単位である2名。
両名とも精緻な技術と、明快なコンセプトに基づき、美しい作品を世に送り出している。
壁や地面に自然に残された凹みをトレース、立体化するという作業で知られる、ドイツ滞在中の谷口顕一郎。
「仮設の場所の為のパブリックアートのプラン」。観念と実体を行き来する、英国帰りの春山憲太郎。
いずれも抽象と具象の境目にある作品ながら、好対照を見せるそのコンセプト、制作方法、ビジュアル。
それらはお互いがお互いを引き立て合う事になるだろう。
彼らはこの美術の世界に於ける青年である。即ちはより大きい、より強大な可能性を秘めた存在。
レントゲンヴェルケは、彼らの溢れんばかりの才能を解き放ち、閉塞の一途をたどる美術の世界に風穴をあける使命、その先鋒を託す。
谷口顕一郎
Lehrterstr.22 Berlin Mark2
2009
plastic hinges
15.0x 13.0x 18.0(cm)
〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
TEL: 03-3662-2666