吉田直(よしだなおし)氏の作品は、木彫による人物像です。
平安時代に完成された日本の伝統技法である「寄せ木造り」によって制作されています。
これは頭体部を、ふたつ以上の材木を寄せ合わせ、一像に仕上げる技法で、内部を空洞化することで、木の割れ、狂いを止め、像の軽量化と動的な彫刻表現を可能にしています。
現存する仏像彫刻の多くは、仏教普及の象徴として、「やさしさ」「親しみ深さ」を醸し出すように、実際の人間より小さめに作られているという説があります。吉田氏の作品もまた、少し小さく作られており、作家の人となりとあいまって「なごみ」や「安らぎ」を感じさせる親しみ深い作品となっています。
昨年の「国宝 阿修羅展」の開催を機に「仏像ガール」「アシュラー」といった仏像鑑賞を趣味とした女性達が騒がれました。
吉田氏の作品の主題は、現代に生きる人物像ですが、仏像彫刻の顔の相・手の印からの影響も少なくなく、その佇まいは多くの人々を魅了することと存じます。
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