「Emerging Artists 2010」では、2010年3月に美術大学を卒業した4名のアーティストを紹介します。
飯田千晶 「風がふいた/The wind is blowing」 2010 油彩、シルク、ベニヤ 145x180cm
飯田千晶(多摩美術大学)の作品には普段は見過ごしがちなマンホールがレースのように繊細に描かれています。いつもの道草で、いつもの目印を辿りながら過ごす時間。いつもの足元の景色が、たとえば雨が降ると表情を変え、空間や時間が足元からその先に広がっていく。いつもみていたものが違う空間を作り出した瞬間を描いています。
檜垣文乃 「わ・13」 2010 杉、顔料、ニス
檜垣文乃(多摩美術大学)は、身近な人々をモチーフに一木彫りで立体作品を制作しています。ひとが持つ不可思議な魅力を、その所作を通して、また人それぞれが持っている個性的な「ライン」を大切に感じながら彫り起こしています。インスタレーションでは、誰かの視線の先には必ず誰かがいて、次々と繋がっていきます。
福嶋さくら(武蔵野美術大学)は、記憶の中の景色であったり、まだ見ぬ風景であったりするイメージを刺繍をほどこした絵画作品にしています。またそれらの景色を構成する断片が小作品としても生み出されます。自らの内にあるイメージを、湧き出てくるままにスケッチすることからはじまり、いくつかの過程を経て作品化された絵画は、時間の密度が濃縮された不思議な雰囲気を纏っています。
桃野盛輔 「水辺の風景」 2010 キャンバス、油彩 130×162cm
桃野盛輔(多摩美術大学)は抽象的なイメージから制作を進め、風景画へと昇華させます。具象から捨象し抽象へと至る過程とはまったく逆の過程を辿って現出する風景は、その姿をぼんやりと現わしはじめたときに、さまざまな印象を携えます。そこにはあるはずのないアナザーストーリーが浮かんでくるようです。
4名の若いアーティストのグループショウ、ぜひご高覧くださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
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