加藤泉は1969年島根県生まれ、武蔵野美術大学油絵科を卒業後、数年のブランクを経て、作家活動をスタートしました。
その後、国内外で精力的に発表を続け、2007年には、元MoMA絵画彫刻部門シニア・キュレーターであり批評家のロバート・ストーが総合ディレクターを務めた、第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際企画展に、日本の若手ペインターとしては初めて招待され、ペインティング及びドローイングを発表、世界の大舞台で引けを取ることなく、加藤独自の世界を展開しました。
また、国立国際美術館にて現在開催中(~4月4日)の「絵画の庭」展では、第一室で巨大な四つ足の木彫とペインティングを展示、展覧会の序章を印象的なものにしています。
加藤のペインティングでは、男や女、子供などの人物、人の形が執拗に描かれます。しかしながら、それはどこまでも匿名的に誰でもなく、「人類」という大きな括りを想起させるほどに強烈で、根源的な生命を思わせる独特の表現です。近年になって、加藤のペインティングの特徴のひとつである、色彩の美しさ、多様さが一段と増したことで、作品がより雄弁に世界と対峙し始め、尽きることのない価値を我々に与えてくれるかのようです。
また、2004年頃からペインティングと併行して本格的に手がけられるようになった木彫作品は、加藤のペインティングと我々の世界との境界線を越えてやって来たかのような強い存在感を放っています。
今回の2つの個展に際し、加藤が付けた展覧会タイトル「SOUL UNION」は、形を持たない思想や価値観が、血縁や人種を超えて共有され、赤の他人にも関わらず、まるで遺伝子のように受け継がれて行く様を表しています。
時や場所を超えて作用することのできるアートの持つ力、可能性を改めて感じることのできる展覧会となることでしょう。
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