2008年のYOD Galleryでの個展以降、北川の活動の幅の広がりは留まることを知りません。デザイナーとしての枠をはるかに超えた様々な表現手法の提示は、明らかに次世代の新たな価値観を創出する目的を持つ現代アートの世界に多くの反響をもたらし続けています。
写真家新津保建秀とのアートユニット「ヒント日」では、写真・映像といった他領域との融合に加え、北川の真骨頂である印刷技術への深い研究から、巨大キャンバスに高画質の画像を転写する特殊技術を駆使した平面作品を関西の複数企業とのコラボレーションにより誕生させました。
昨年はホテルクラスカと新丸ビルでのヒント日巡回展、ギンザ・グラフィック・ギャラリー、ヒルサイドテラスでの個展などを開催し、北川の予測不可能な活動は領域の枠組みを超え、多方面で注目を集めています。
当展は、北川の手から生み出されたキャラクター"きいちゃん"が、あらゆるかたち、姿になってギャラリー内をインスタレーションで埋め尽くします。"きいちゃん"とは、北川が昨年「東京もっと元気に」プロジェクトのイメージキャラクターとして発表したものです。リーマンショック以降の不景気から以前の活況と元気を取り戻そうと、東京の飲食業の起業家が中心となって立ち上がったこのプロジェクトに、元気の象徴としての笑顔と、成長の象徴としての乳児をキーワードに、現在も引き続き東京の街を彩っています。
「きいちゃん」は、人と人との関係や社会の気配を明示すべく制作したキャラクターである。
私の創造したオリジナルの「きいちゃん」は「産まれたばかりの赤ちゃん」ということである。
キャラクター「きいちゃん」は、私の一つの原型からはじまり多様に進化する関係とプロセスを作品とする。
たとえば、「きいちゃん」がロボットになった作品がある。
首から上が「きいちゃん」で、首から下が機械である。
「きいちゃん」プロジェクトは、今日のインターネットなどの媒体と人間の思考の関係や現代社会をあぶり出そうとする実験でもある。
インターネットなどの媒体の出現は、バーチャルな人間関係を加速している。
私はそれに魅力を感じまた同時に歪な不安を覚える。
身体的な対峙を避けようとしている人間社会は弱い。___
北川一成
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