総金箔地の六曲一双屏風に、濃淡の群青と緑青のみによって鮮烈に描き出されたカキツバタの群生―。尾形光琳(1658-1716)の国宝「燕子花図屏風」は、『伊勢物語』第9段に登場する三河国の八橋のカキツバタを題材として、意匠的な画面構成と優れた技法が渾然一体となった日本絵画の名品です。この「燕子花図屏風」が、4年ぶりに根津美術館の初夏を彩ります。なお、本展覧会の期間中、庭園ではカキツバタの開花も予想されます。
あわせて、光琳が私淑した琳派の祖、俵屋宗達(生没年不詳)周辺で制作された優品「桜下蹴鞠図屏風」や「四季草花図屏風」、江戸琳派の画家、鈴木其一(1796-1858)の代表作「夏秋渓流図屏風」をはじめ、根津美術館所蔵の琳派の絵画をご覧いただきます。
斬新にして典雅、大胆な造形のなかに限りない繊細さを秘めた琳派の美の世界。国宝を含む絵画約25件を展観いたします。
夏秋渓流図屏風(右隻) 鈴木其一筆 江戸時代 19世紀 根津美術館蔵
染錦牡丹花瓶文大皿 江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
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