伊藤若冲(1716-1800)は、京都国立博物館での没後200年展以降様々なメディアで取り上げられ、一般の美術愛好家にも広くその名を知られる存在となりました。
一方で、若冲作品に関しては華麗な着色画を中心として語られることが多く、遺作の大部分を占める水墨画については未だ必ずしも正当な評価を得ているとは言えません。しかし、晩年に至るまで生涯描き続けた水墨の作品には若冲の独特の造形感覚が遺憾なく発揮されており、彼のもう一つの魅力をかたち作っていると言えるでしょう。
本展覧会は、若冲の水墨の作品を中心に、関連する着色の作品をも含めて構成します。加えて、河村若芝・鶴亭らの黄檗絵画の作品によってその水墨表現の前史を示し、若冲水墨画の世界に迫ります。
《樹花鳥獣図屏風》静岡県立美術館蔵
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