「巧術」のためのベーシックステートメント
日本の美術史はそれ以前からの工芸史、あるいは明治維新以降人工的に形成された美術史、
また強引に導入された現代美術の系譜といった、複数の歴史の平行によって、
それら自身お互いに引き裂かれているという奇形化された状態にある。
昨今のアジア経済圏の急激な成長をバックボーンに、日本美術、殊に現代美術は
単なる投機と消費の対象となり、その結果の安易なコンセプト構築と粗製濫造が、
その本来あるべき誇りと気高さを失ってしまった。
西欧的な美術観に於いては、常日頃から言われる、日本人ならではの物理的な細やかさや器用さは、
その思想、あるいは感覚に対する言説に比べ、軽んじられてはいまいか?
「器用」「工芸的」といった言葉が、いつの間にか侮蔑の言葉になってはいまいか?
こうした危機感、閉塞感、疑念への率直な返信として「巧術」は企画される。
「巧術」は日本人ならではの「技巧」を通して、これまでの美術と一線を画し、
新しい価値観創造の可能性を提示する。
エキゾティシズムに基づかない、より日本の美術ならではの在り方をその鍛錬、
修練によって、より高いところへ持っていこうとする作家達のプレゼンテーションによって、
その未来を具体的に示唆しようとするものである。
キュレーター
株式会社レントゲンヴェルケ 代表取締役
池内務
■出展作家:(予定、五十音順・敬称略)
青木克世
あるがせいじ
内海聖史
カンノサカン
桑島秀樹
佐藤好彦
須田悦弘(**)
諏訪敦(*)
高田安規子・政子
中村哲也(**)
満田晴穂
山本タカト(*)
■キュレーター:
池内務(株式会社レントゲンヴェルケ 代表取締役)
■主催・企画制作:
株式会社レントゲンヴェルケ
■企画協力:
スパイラル/株式会社ワコールアートセンター
■出展作家協力(五十音順・敬称略)
ギャラリー小暮(*)
ギャラリー小柳(**)
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