北城貴子(ほうじょうたかこ)は、近年、風にそよぐ草花の上に降り注ぐ光、深緑の樹林に射し込む木漏れ陽や土から立ちのぼる香気などを軽快な筆致で伸びやかに描いてきました。場のもつ湿度や温度、音や匂いまでありありと現出させてしまうその画面は、単なる風景画とは括れない臨場感をたたえています。
04年に京都市立大学大学院博士課程を修了。 水面のさざなみの乱反射や木漏れ陽の光の粒子の揺らめきといった景色の断片を描いた、ピンクや紫といった一定のトーンの色彩が響き合うペインタリーな抽象作品で知られ、同年のVOCA展に選出されるなど早くから注目されてきました。06年大原美術館レジデンスプログラムの滞在制作は1つの転機となり、樹木のかたちが現れる具象的な画面でその時そこに在る光を捉え、瑞々しい生命力やその場の感興で見る人を釘付けにする独自の境地を確立しました。
一貫して北城が描いているのはその時そこに在る光であり、場に立ちのぼる感興です。新作は、草花の上に降り注ぎ拡散する眩い光を描いた作品。APS空間をどのような光で満たしてくれるのか、皆さんにもぜひ、ご高覧いただければと存じます。
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