昨年の個展では豊かな色彩と光に満ちた独特の世界観で「空気のtuning=調律」を表現し、それまでの「モチーフの存在感」から「画面全体を捉える」ということに焦点が移りました。
本展のタイトル、Le pollen(ル・ポーレン)は、フランス語で「花粉」を意味します。絵具と絵筆の動きで空気感を調律していた前シリーズの流動性から、パステルを使い空気そのものの粒子を操るような拡散的プロセスに移行したことで、田中はある種の自由を得たのではないでしょうか。
画面全体に漂う開放感と、豊かな物語をぜひこの機会にご高覧ください。
hpgrp GALLERY東京 ディレクター 戸塚憲太郎
他の素材と違いパステルの色彩はふっと吹けば飛んでいってしまいます。
それを指を使って紙に入れ込んでいく作業は、同時に体の中にも色を摺りこんでいくような感覚です。
制作中のパステルの粉は、カラフルな花粉のように空気中を舞っているので、絵と空気がまた結びついたポイントを見ることが出来ます。
そしてそれらは、粒子、点の集合体ですので、パステルで制作することは、客観視した点の世界を繊細に表す実験になります。
今回の展示では、森の精やおばけ、色彩の精霊や動物たちが登場します。
― 田中麻記子
協力:Yumiko Chiba Associates
東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビル B1F
TEL:03-3797-1507
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