本展は18枚の壁面で室内空間を形成する組立式壁画「百の花、雪はふりつゝ」を中心に、パネルを毛布と綿布でくるんだ"ふとんキャンバス"では過去最大サイズの大作と、最小サイズの作品とで構成されます。
「きゆ」=「消ゆ」と題された今回は、「消える」という事象の変化の中からイメージをすくい取る形で制作が行われました。
常に流動的で不定形なものの瞬間を形にすることは、消えたはずの存在をかえって印象強く浮き立たせます。煙の中の女の子たちもまた、姿を現したと思ったらすぐに見えなくなるものとして描かれていますが、それはフラッシュのように焼きつき、私たちの記憶に深く刻まれることでしょう。
存在と消失は繰り返され、プラスとマイナス、あるいはポジティブとネガティブの両極が暗喩されることによって、作品の表層だけではなく、もっと心の深いところには消えない美しさが残るということに気づいてほしいという山口の願いが込められています。
山口ならではの物語や意味の並列が織り成す本展を是非ご高覧ください。
〒162-0843 東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
TEL: 03-3268-2500
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