「フランダースの犬」の舞台として知られるベルギー北部の都市アントワープは、ヨーロッパ有数の港町として16世紀に最盛期を迎え、以後、商業・金融の中心地として発展してきました。その地理的条件からヨーロッパ列強諸国の影響を常に受け続ける一方、様々な文化・芸術の交流の場ともなりました。
アントワープ王立美術館の母体は古く、14世紀に創設されたアントワープの聖ルカ組合(画家組合)の所蔵作品とその展示室にさかのぼります。18世紀後半に組合が解消されると、それらの作品は美術学校に受け継がれ、1810年からは美術学校とその付属美術館として、かつて修道院だった建物に移されました。この間、18世紀末にはフランス軍の接収から免れた作品が集められたり、1815年のナポレオン失脚後は、ベルギーからフランスに接収された作品が戻される等の歴史もありました。その後、寄贈や購入により、コレクションの充実がはかられ、1878~90年には、現在の壮大な建物が建設されて今日に至っています。そのコレクションは、フランドル絵画にフランス、オランダ、イタリア等の作品を加えた古典美術と、ベルギー独立の1830年以後の、近代美術のコレクションからなります。
本展は、同館の近代絵画のコレクションから、マグリット、デルヴォー、アンソール、クノップフ、スピリアールトら、ベルギー近代美術を代表する画家たちの作品を紹介します。アントワープ王立美術館の近代絵画コレクションを日本で一堂に紹介するのは、今回が初めてとなります。
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