「装飾」は色彩や形態と同様に、重要な造形要素であるばかりでなく、しばしば物質性を超えたひとつの精神性を象徴、表現するものです。縄文土器や装飾古墳の幾何学文様、バロックやロココの建築にみられる装飾は、単に時代の美意識が表現されているだけではなく、そのなかには空間や時間、自己の存在を問うひとつの世界観を見いだすことができます。同じように、現代のタトゥーや「ゴス」と呼ばれるファッション、あるいはより身近なデコ電などの装飾、装身行為には一種の同時代的な精神性が表現されていると言えるかもしれません。
東京都現代美術館では、時代と結びついたテーマによる同時代の若手アーティストを紹介する展覧会「MOTマニュアル」を1999年より開催しています。10回目を迎えた今年は「装飾」をテーマとしました。装飾という造形形式が本来持っているエモーショナルな訴求力を探求する10名の精鋭たちが、繊細、あるいはダイナミックに1200㎡の空間を満たします。
▼参加作家▼
青木克世/小川敦生/黒田潔/塩保朋子/野老朝雄/松本尚/水田寛/森淳一/山本基/横山賢太郎
青木克世 《予知夢Ⅸ》 2009年
個人蔵(台北) Courtesy of Röntogenwerke
黒田潔 《ONIGAMI》 2008年 アクリルガッシュ
ナム=ジュン・パイク・アートセンター(韓国京畿道)
「NOW JUMP!展」におけるウォールペインティング
横山賢太郎 《book-tear》 2008年 油彩・カンヴァス
東京都現代美術館蔵
〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
TEL:03-5245-4111