この度YOD Galleryでは、YOD Galleryディレクター山中俊広のキュレーションによる実験的な展覧会「Under 100」を開催いたします。当展は大阪・放出のfabre8710(ファーブル芸術事務所)とも連動して、双方のギャラリーでそれぞれの所属作家が同じテーマで展示をおこなう企画展として開催いたします。
ギャラリーにおける展示とは、作品の配置によって展覧会のテーマをより明白に反映させ、かつ鑑賞者にそのテーマが伝わるように明確に提示することが基本としてあります。更には鑑賞する人間の身体性を考慮し作品そのものの視認に適した作品配置の高低を定めることも、展示の重要な要素です。
また、YOD Galleryの展示空間では、道路に面した外壁の展示に加えて、約4mの天井高を持つ立方体に近いギャラリー内スペースが特徴として、毎回の展示では空間の隅々までを意識した独特のインスタレーションスタイルが好評を博してきました。
杉山 卓朗 「無題」
アクリル・キャンバス 145.5 x 112.1 cm 2009
当展は、タイトル「Under 100」で定義する「100cm以下」の高さの位置に全ての作品を展示することによって、展示そのものの意味を考察する機会といたします。
100cmという高さは、一般的な体格の人が腰を軽くかがめた時の目線の位置です。それよりも低い位置に作品を配置すると、鑑賞者は膝を折り曲げるなど体勢を変化させて作品を鑑賞することになります。つまり鑑賞者が積極的・自発的に作品への視線を動かすことで、心身双方からの作品に対するアプローチが深まり、作品に隠された思いがけない作品の解釈を発見することができるはずです。
ただし、この展示は鑑賞者への姿勢の強制のみで成立するものではありません。この実験的な企画に参加する、YOD Gallery取扱作家の杉山卓朗、加賀城健、服部正志の3名の作品の表現力および空間構成力によって、鑑賞者の視線を100cm以下の位置へと誘導いたします。YOD Galleryでの個展を経験した3名が、ギャラリー空間の特質を読み取った上で、100cm以下の高さという展示の制限の中でいかに自らの作品の特性を表現し鑑賞者の視線を集めるかも、当展の重要なポイントとなります。
会期中の1月16日(土)には、「Under 100」の意図をより理解していただくことを目的として、1日限りのイベントとしてギャラリーの床に座れるコーナーを設置して作品をご覧いただく、「座談鑑賞会」をYOD Galleryにて開催いたします。通常、会期中は姿勢を変えながら作品を鑑賞していただく中で、当日のみは実際の生活に合った姿勢でも作品を鑑賞することができます。双方を体験していただくことで、改めて作品鑑賞における「Under 100」の視線の相違点を理解していただけるはずです。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
加賀城 健 「Fold - THE END OF...」
染料・綿布・パネル 53.0 x 40.9 cm 2009
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