仮想空間技術によって、自然環境や社会構成をもシミュレート可能なものになっている現在、インターネット上に構築される3D仮想空間であるメタバースとは、現実の世界とどのように違い、それゆえにどのようなことが構想されうる空間なのでしょうか。
ICCメタバース・プロジェクトは、そうしたメタバースをどのように活用することができるか、ということをテーマにした長期プロジェクトとして発足しました。アートからデザイン・エンジニアリング、建築空間としての仮想空間と身体との関係、コミュニケーション・プラットフォームとしての仮想空間、情報社会論といった観点からメタバースを捉え直すことで、それが内含する問題を研究会によって議論し、その実践として展覧会を行なう、といった一連の企画において、さまざまな方法を通じてメタバースの可能性を検証しようとするものです。
剛体折紙建築(参考図版)
舘知宏
都市空間の変遷と社会構造が関連づけて論じられるように、これまで、わたしたちの空間認識の方法が変化するのに伴って、わたしたちの意識や世界観は変化してきました。モダニズム以降の中心のない均質空間の確立から、インターネット時代の離散的で非線形的な空間へ、といった空間概念の変化は、わたしたちの思考にどのように変化をおよぼしているのでしょうか。それは、インターネットという情報空間に形成されたアーキテクチャによって、現実社会の構造の変化が示唆される現在において、より顕著に表わされるものだといえるでしょう。
自由形状折紙----ミウラ折りの一般化(参考図版)
舘知宏
この特別展は、メタバース研究会での議論を基礎に、インターネット・アーキテクチャやコンピュテーションといった方法を用いて新たな空間認識を模索し、その関係性によって顕在化する可能世界を提示することを通じて、社会設計の実験や実践へも視野を拡げようとするものです。4組の参加作家がさまざまに取り組む「空間の表象の探索」をお楽しみください。
《中心が移動しつづける都市》2010(参考図版)
柄沢祐輔+松山剛士
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