ペインティング、ドローイング、立体作品とジャンルを超えて精力的に作品を発表している小池一馬の新作展「瞬き」をご案内申し上げます。
水彩絵具とインクの滲みを紡いでイメージを創り出すドローイングシリーズが印象的な小池ですが、近年は水彩絵具とメディウムで作ったペーストを、綿布にペンチングナイフで「描くというより、チクチクと載せる」手法で表現するペインティングを制作しています。凹凸を持った画面は様々な方向からの光を反射し、海面のようにうごめき輝きます。紙の向こう側へイメージが浸透することで奥行きを表現していた前シリーズとは反対に、イメージをこちら側へせり出す画面として構築することにより、彫刻的とも言える力強さを獲得しています。「質感に対してのフェティシズム」を感
じさせる反復作業はある種の不自由さを招き、それはズレを招くことによって何か未知の領域に触れようとする試みとも考えられます。
本展は、物語の一場面を思わせる4点のペインティングと、求心的イメージの正方形のペインティング4点をメインに構成されます。小池は物語全体ではなく、作品が切り取られた一場面として存在することを意図していると言います。日々の生活で我々が洪水のように浴び続ける様々なイメージの類いではなく、曖昧な記憶や過去をたぐり寄せるきっかけとなり得るイメージを「一場面」として投げかけてきます。制作を未知なる存在との交信手段と位置づける小池初のペインティングのみで構成される本展、この機会に是非ご高覧下さい。
東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビル B1F
TEL:03-3797-1507
http://hpgrpgallery.com/tokyo/