2009年6月に開催され各方面からの絶賛、好評を得た小品展に続いて、水墨画家山口英紀の個展を開催いたします。
山口英紀(やまぐち・ひでのり)は千葉県木更津市に生まれ、筑波大学大学院を修了後、中国へ 留学し水墨画を学んだのち帰国、現在は高校の国語教師を勤める傍ら制作を続け、2008年開催の「ULTRA001」に出展の都市を細密 に描いた工筆による水墨表現で注目を集めて以降、コンスタントに作品を発表し現在に至ります。
2009年の個展では薄い和紙を幾重にも重ね、そのたびに描き込みも重ねる手法を駆使してぼやけた情景をかわいらしく創出するユニークな作品や、堅牢な人工建造物をリアルに描写しその硬質な空気感を精密に再現したものなど、バラエティに富んだ主題のチョイスでさまざまな雰囲気を表現。モチーフのひとつひとつに込められる誠意やユーモラスな遊び心も随所に織り込みながら、しかしストイックに、圧巻の描写力で描ききられ、力のこもった作品群で観る人々に驚きと感動を与えました。
今回の個展は、大作2点をメインに据えて展示を構成いたします。渋谷のスクランブル交差点の一場面を主題に選んだ作品。もう1 点は全長6メートルを超え、広大な工場風景を山口の水墨表現の真骨頂である細密描写によって写真と見紛うほどのリアリティで再現し重厚な空気感を創出。人の気配を排除し徹底して硬質な建造物を精緻に描写することに努め、時間が止まったかのような緊張感を漂わせ、しかし和紙と墨の渋くやさしい肌合いにより、穏やかさにも満ちた深遠で荘厳な情景が描き現されます。
またさまざまな主題を取り上げた新作の小品も数点発表。
加えて2009年開催のULTRA002にて幕内政治のブースで紹介していました石塚源太(いしづか・げんた)の漆作品、澤井津波(さわい・つなみ)と林原章矩(はやしばら・あきのり)のタブローもあわせて展示、山口に続くフレッシュな個性をあらためてご紹介いたします。
山口英紀HP「思纂室」:http://sizuanshi.com/
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-30