TARO NASUでの3回目の個展となる今回は、旧作から最新作までを含めた全15点の作品を展示し、Ryan Ganderの作品世界の全体像をわかりやすくご紹介する内容になっています。
Ryan Ganderは、これまでもしばしば新しいコンセプチュアルアートの旗手と評され、そのロマンティックな想像力が注目されてきました。今回の画廊の展示では、Ryan Ganderの発想の秘密=連想・想像の力に焦点をあてています。
たとえば、有名家具キットを子供に勝手に組み立てさせた作品("Rietveld Reconstruction"シリーズ)や不思議なトランプ柄の絨毯("If I could see but a day of it - (Multiverse)")、有名映画のスチール写真を引用した、もどかしい既視感をかきたてる写真("The Mechanics of Form (2) XYZ")。
Ryan Ganderの発想の出発点はけっして大仰だったり難解なものではありません。
身の回りにある身近なデザインやモノを眺め、そこから連想・想像する。
その行為を通して、より普遍的かつ根源的な問題に迫ることのできる独特の柔軟な思考と、その思考のもつ強靭な跳躍力こそが彼の個性です。
それはフェティシズム(物神崇拝)としてのアートにいささか疲れた21世紀の現代美術にとって、次のステップに踏み出す新しいキーワードになるかもしれません。
"Flashes of beautiful thinking - 26 January 2010" 2010
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