20世紀はじめ、ロシアでは、伝統的な芸術を打ち破ろうとするラディカルな芸術革命が起ります。1912年に『社会の趣味への平手打ち』で鮮烈なデビューを果たした未来派詩人ウラジーミル・マヤコフスキー、1915年にいち早く抽象画を発表し、「スプレマチズム」を展開した画家カジミール・マレーヴィチ、また同年、抽象的な造形物「反レリーフ」を発表したウラジーミル・タトリン。彼らに始まる動きは、1917年、ロシア革命を機に新たな局面を迎えます。芸術の革命は、政治の革命に同調し、多くの芸術家が、新国家建設の夢に邁進することになるのです。プロパガンダを目的としたロスタの窓のポスターや陶磁器のデザインは、その端緒と言えるでしょう。さらに20年代には、市場経済の一部導入に伴い、映画や商品広告のポスターが数多く生まれ、また絵本や雑誌、舞台美術や建築など、より広範な分野を通して、新国家の理想の姿が描き出されるようになりました。
しかし、スターリン体制が確立され、五カ年計画が始まる1928年以降、芸術家たちは、増産や工業化を訴えるポスターや雑誌、テキスタイルの制作に携わる一方、創造的な活動を厳しく制限されるようになります。1934年には、「社会主義リアリズム」が芸術の絶対規範とされるなか、アヴァンギャルドは容赦ない批判にさらされることになりました。
そして皮肉にも革命20周年となる1937年、ロシア史上最大の粛清が行われると、以後多くの芸術家がその犠牲となり、アヴァンギャルドの抱いた革命の夢は、終わりを迎えたのでした。
本展覧会では、この激動の時代を、ポスターや雑誌、絵本から陶磁器、テキスタイル、舞台美術や建築エスキースなどの多彩な作品と、当時の写真資料を通してご紹介します。
ウラジーミル・マヤコフスキー、ヴァルヴァーラ・ステパーノヴァ
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1925年/サンクトペテルブルグ ロシア国立図書館蔵
The National Library of Russia, St.Petersburg
アレクセイ・ラプチェフ(絵・構成)『ピチリェートカ(五カ年計画)』
1930年/サンクトペテルブルグ ロシア国立図書館蔵
The National Library of Russia,St.Petersburg
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