美濃焼の産地である「美濃」は、東濃西部(多治見市、土岐市、瑞浪市)を中心に可児市、恵那市、中津川市も含めた地域を指します。
7世紀に始まった美濃窯は、須恵器、灰釉陶器、山茶碗、古瀬戸系施釉陶器、桃山陶、磁器へと1300年の歴史のなかで時代の求めに応じ様々なやきものを作り出し、世界でも有数の生産地としてその礎を築いてきました。
この度の展覧会は、「美濃焼1300年の歴史」を振り返り、シリーズの第3回目として、館蔵品を中心に江戸時代に焼かれた御深井釉から太白までを取り上げ、その変遷を紹介します。
美濃焼は中世より瀬戸から技術が伝わり、桃山時代に茶の湯が流行すると織田信長や豊臣秀吉の政権下で黄瀬戸や瀬戸黒、志野、織部など多くの桃山陶を作り出し隆盛を極めます。しかし、慶長20年(1615)に美濃焼の庇護者であった古田織部の死によって豪快で華麗な桃山陶の風潮は次第に衰退していきます。その後、小堀遠州のきれい寂びの影響を受けた楽や仁清、乾山などの京焼、唐津や新興の有田の陶磁器が市場の主流となり、美濃焼は転換を余儀なくされていきます。
その時期に美濃では、中国の青磁の意匠を取り入れた御深井釉のものや日本最大の消費地に拡大発展した江戸の町人や武士などが使う民衆向けのやきものを焼くようになります。
このように美濃焼の歴史は、途絶えることなく形をかえ現代に受け継がれています。展示を通してやきものの生産地、美濃が転換してゆく過程をご覧頂ければ幸いに存じます。
〒507-0801 岐阜県多治見市東町1-9-4
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