1933年に設立されたシアトル美術館は、世界各国の美術品を所蔵する米国屈指の美術館です。その中核をなす約7000件の日本・東洋美術コレクションから、鎌倉時代の「浦島蒔絵手箱」(うらしままきえてばこ)、桃山時代の本阿弥光悦・俵屋宗達による「鹿下絵和歌巻」(しかしたえわかかん)、江戸時代の屏風「烏図」(からすず)といった名品をはじめ、中国や韓国、東南アジアなどの美術品も含めた選りすぐりの作品約100件をご紹介します。同館のまとまったコレクションが、アメリカ国外で一堂に公開されるのは世界で初めてのことです。多彩な時代、地域、ジャンルの逸品がつまった、まさに「美しきアジアの玉手箱」のようなコレクションを是非お楽しみください。
鹿下絵和歌巻[部分] 本阿弥光悦書 俵屋宗達画 桃山時代?江戸時代 1610年代
Photo : Seiji Shirono, National Institute for Cultural Properties, Tokyo
特に注目される作品である「鹿下絵和歌巻」(しかしたえわかかん)は、当初は長大な一巻の巻物でしたが、後世に前半・後半の二巻に分けられ、前半はさらに分割され複数の所蔵者のもとへ散りました。しかし、後半部はそのままの状態でシアトル美術館に収蔵されており今回出品されます。さらに、国内に所蔵されている前半部のうち一部分も会期中の一時期に展示されます(1月25日?2月7日)。さらに、現在シアトル美術館と東京藝術大学が所蔵する、山梨県勝沼町等々力にある甲斐万福寺に伝来の「源誓上人絵伝」(げんせいしょうにんえでん)二幅があわせて展示されることは特筆されます(東京藝術大学所蔵のものは2月9日?2月28日)。
※会期中一部展示替えがございます。
烏図 六曲一双(右隻) 江戸時代 17世紀前半
Photo : Seiji Shirono, National Institute for Cultural Properties, Tokyo
【シアトル美術館】
シアトル美術館は1933年、アメリカ西北端の湾岸都市シアトルに、地質学者リチャード・フラーと母マーガレットによって創設された私立美術館です。美術館は市営公園ヴォランティア・パークに建設されましたが、1991年ダウンタウン地区に新たな館施設が、さらに2007年には臨海地区に屋外彫刻公園「オリンピック・スカルプチャー・パーク」がつくられました。そして創設当時の建物は1994年にシアトル・アジア美術館と名称を改め、東洋美術コレクションの展示館として再オープンしました。現在約25,000件を数える世界各国の多彩な収蔵作品のうち東洋美術は約7,000件で、その半分を日本と中国の美術が占めています。
〒400-0065 山梨県甲府市貢川1-4-27
TEL:055-228-3322