小西紀行(1980年広島県生まれ)の描く人物の目、鼻、口は赤く、髪の毛は真っ白です。特定の人物を確認する上で必要な一切の情報を排し、ゆらめくような独特の筆致で描かれた肖像画は、観る者の想像力を喚起して止みません。
昨年は美術館のカフェ空間を劇場に見立て、200号のペインティングを中心に油彩とドローイングを発表(New Artist Picks/小西紀行展「千年生きる」、横浜美術館)、今年に入ってからは、「エモーショナル・ドローイング」展(SOMA美術館、ソウル)、「VOCA展2009 ? 新しい平面の作家たち」(上野の森美術館)に参加するなど精力的に活動を続けている若手ペインターです。
待望の第二回目の個展となる今回は、東洋の宗教哲学における「個にして全、全にして個」から派生した小西による造語、「個として全」を自身の現在の心境を表すワードとして掲げます。この言葉に、ブラッシュストロークの一手一手にも色や形、質、構造というような様々な要素が宿るような普遍的な表現に至りたいと願いながら、「肖像画」というアカデミックな絵画表現に真正面から取り組もうとする作家の決意表明を見ることができます。本展では、その自身の姿を象徴するかのような、筆を握りしめたポートレートも登場、新作約10点を発表致します。
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