「アール・ヌーヴォー」は19 世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパを中心に一世を風靡した装飾様式です。近代的な大量生産方式が主流となっていく時代に、生活の美を見つめなおし、装飾や工芸を芸術の域まで高めました。主に建築や工芸にあらわれ、流れるような曲線が織りなす優美なデザインは、今でも多くの人々を魅了しています。
アール・ヌーヴォーが花開いた1900年に、パリ万国博覧会の開催に合わせて完成したオルセー駅。この駅舎を改築し、19世紀美術の殿堂として今日公開されているのがオルセー美術館です。本展では、同館の誇るアール・ヌーヴォー・コレクションから、エミール・ガレ、ルネ・ラリック、エクトル・ギマールなど巨匠たちの名品を中心に、選りすぐりの約150 点をご紹介します。
お客様をお迎えするサロンに始まり、ダイニングルーム、書斎、貴婦人の部屋とつづく各コーナーには、当時ヨーロッパの最高水準に達していたというパリの工芸技術によって制作された豪奢な工芸品や家具、装飾品などが展示され、あたかもパリのブルジョア邸宅に招かれたような素晴らしい体験ができるでしょう。また、アール・ヌーヴォーを代表する人物として、地下鉄の入り口をデザインした建築家エクトル・ギマール、そしてミュシャの華麗なポスターで日本でもよく知られる女優サラ・ベルナールをとりあげて紹介するほか、パリの高級工芸産業を七宝、陶芸、金属工芸の3分野で紹介します。ひとつひとつの展示作品が放つオーラは、印象派絵画だけにとどまらない、オルセー・コレクションの奥深さを実感させてくれるものです。
《ハーモニー》 1893年 ©RMN (Musée d'Orsay) / Michèle Bellot / distributed by DNPartcom
《テーブル・ランプ "睡蓮"》 1902-1904年頃のモデル ©RMN (Musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by DNPartcom
《蛇文小櫃》 1897-1899年 © Musée d'Orsay, Dist RMN / Jean Schormans / distributed by DNPartcom
展覧会公式ホームページ:http://www.orsay2009-10.jp/
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