江戸時代に日本各地を遊行しながら個性的な木彫像を多く残した二人の造仏聖、円空と木喰。今なお、多くの人々を魅了してやまない彼らの神仏像170体あまりが、このたび一堂に集結します。
円空(1632-95)は、寛永9年(1632)に美濃国(現在の岐阜県)に生まれました。32歳で仏像を彫り始め、64歳で入寂するまでの30余年の間に、12万体もの造像を行ったと言われます。粗々しい鑿あとをいかした力強く自由奔放な作風が特徴です。
一方、円空入寂の23年後に甲斐国(現在の山梨県)で生まれた木喰(1718-1810)は、56歳で日本廻国の旅に出発、62歳で初めて作仏して以降、93歳の生涯を閉じるまでに2千体を制作したと伝えられます。円空とは対照的に丸みを帯びた柔らかな造形と「微笑仏」と呼ばれる独特の風貌で知られます。
円空 千面菩薩のうち 荒子観音寺(愛知県名古屋市)
木喰 子安観音菩薩(立木仏)光明寺(愛媛県四国中央市)
作風も生きた時代も異なる二人ですが、多くの像は時代を経た今も、寺社のみならず小さな集落などに伝え残されています。それは庶民の信仰や交流の対象として、長い間その地に住む人々の生活の中で大切に守り伝えられてきた証しと言えます。
本展は、日本各地に二人が残した多くの像と資料を通して、江戸時代の豊かな「庶民の信仰」のあり方と、その独創的な造形世界を紹介するものです。なお、愛媛の地に伝来する円空仏1体、木喰仏2体が、県内で初めて出陳されます。
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