「アートの課題」とは、トーキョーワンダーサイトがドイツ文化センターとの共催により、2007年より継続的に取り組んでいるプロジェクトです。
今日の多文化社会における「アートの可能性」について、アーティストやキュレーターとともに考えていきます。第1回の国際シンポジウムに続き、第2回の2008年には、「多文化社会と新しいアートセンターの活動」と題して、7カ国9名のアーティストが東京に滞在制作し、交流を深める中からプロジェクトを立ち上げました。そして各作家の推薦者であるアートセンターのディレクターや批評家等を交えたラウンドテーブルを開催し、国や立場を超えて、対話の重要性を問う徹底討論を行ないました。第3回目となる今回、グローバル化や多様化が進む社会・地域における「新たな共同」の在り方について考えます。
ディン・Q・リー|Dinh Q. Le
《百里平和稲公園:未解決の地》
2009
Mixed media Installation
Courtesy of the Artist
本企画では、3人のアーティストが東京に滞在し、対話やリサーチを通してプロジェクトを立ちあげ、ワーク・イン・プログレスというかたちでTWS渋谷にて公開します。クメール・ルージュの侵攻から逃れるため10歳で家族とともにアメリカへ渡り、現在ホーチミンに戻り活動を続けるベトナム人アーティスト、ディン・Q・リー(Dinh Q. Le)、沖縄出身でニューヨーク在住の照屋勇賢(Yuken Teruya)、アルメニア人の父とアラブ人の母を持ち、ベイルートを拠点に活動するヴァルタン・アヴァキアン(Vartan Avakian)。異なる文化・社会・政治的背景を持つ3人が、一定の時間を共に過ごし、その過程で生まれる対話や発見から、「新たな共同」の場の創造を試みます。
また、プログラム公開期間中、社会人や学生、アーティストの方々を対象に「キュレトリアル・パフォーミング・ワークショップ」を開催します。海外の第一線で活躍するアートディレクターやキュレーターをチューターとして招き、本企画の参加アーティストと共に、キュレーター/企画する側と、アーティスト/つくる側の双方向の共同作業による新しいキュレーションの方向性を探ります。会期中には、ラウンドテーブルやアーティスト・トークを開催し、この「新たな共同」や「アートの可能性」について広く意見を交わす機会を設けます。
約2ヶ月に渡るこうした「対話」と「協働」の実践的なプロセスを通して、今日の「アートの課題」について、多くの方々と一緒に考えていくプログラムです。
照屋勇賢|Yuken Teruya
《儲キティクーヨー、手紙ヤアトカラ、銭(ジン)カラドサチドー》
2008
Mixed Media
Courtesy of the Artist
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