エイミー・ベネットは、大きなジオラマをスタジオに作り込み、その風景のなかに様々なシーンを作りだし、その光景を、まるで静物を描くように実物を目の前にして、ペインティングを制作します。物語を想起させるその絵画の魅力は、美しい光と謎にみちたその空気感です。
今回の展覧会は、2008年に制作された湖のジオラマを舞台にした最後のシリーズです。スタイロフォームで作られた4x1mの大きさのベースに、樹脂の湖が広がり、針金の樹木、カードボードのコテージ、模型の人々が配置され、それぞれのシーンを際立たせるため空の背景を加えたそのジオラマに、繊細なライティングが当てられてモチーフが出来上がります。エイミーはジオラマを見渡し、自由にその光景を描くポイントを探し、時間をかけて絵を完成させます。
「私は同じ家、車、人間、季節の変化を描くことを通じて、時をこえてストーリーを語ること、そのために見晴らしの良いポイントを見つけ出すことに興味があるのです。記憶と同じように、それらは大切な瞬間や経験の残像を、フィクション的に再構成したものであるのです。」
彼女のテーマは、孤立、変化、喪失感、ミステリー、そして他の人たちと共存したり関係しようと努力する人々の無器用さです。今回は夏の避暑地としての湖のイメージに加えて、冬の寂しげな湖のイメージも展示されます。エドワード・ホッパーの作品にも通ずる静けさに多くの人が魅力を感じると思います。
本展では、新作ペインティング8点を展示予定です。
物静かな湖畔の風景と、ミステリアスな雪景色が、写真のように精緻に描かれます。どうぞこの機会にご高覧下さい。
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