石原は自身の存在が多層的な世界の上に成立っていると仮定して、無意識の領域から湧き出てくるイメージを元に抽象的な絵画を描いてきました。そして「古事記」の黄泉の国の項で記述されている「比良坂」のイメージに魅了され、重層的な世界をゆるやかに繋ぐ「境界」をテーマに制作しています。
ここ数年は、時の経過と共に侵食され閉ざされていった過去の記憶が幾重ものレイヤーとして重なり合う現代の都市の深層をたどるパイロットとして「鹿男 -deer man-」を登場させています。鹿は世界中で神(自然)と人間、生と死の境界を行き来する使者として象徴的な存在です。石原のdeer manは私たちに代わって都市の隙間へと潜り込み、そこで目にする世界を表現していきます。
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