「絵画」と「写真」という二つの芸術は、ときに寄り添い、ときに反発し合いながら歩んできました。本展では、二つの芸術の歩みを辿りながら、それらがどのように係わり合い、どのようにインスピレーションを与え合うことによって、それぞれの芸術を深化させてきたかを検証します。
特に、「印象派」による絵画の革命がいかにして起きたかを、写真の誕生とその特性をひとつの切り口として解明することを試みます。写真の誕生が同時代の印象派の画家たちにどのような影響を与えていったか、実作品によって検証し、豊かな相互関係を浮き彫りにすると同時に、印象派絵画の魅力の新たな発見にも繋げていきたいと考えています。出品作品としては、海の写真にヒントを得たクールベの作品をはじめ、自らを写真家と称していたドガ、光と色彩の変転を描き続けたモネの作品等、印象派の豊かな成果を示すもの、そして写真芸術の歴史を辿ることのできる写真作品の数々を予定しています。
ギュスターヴ・クールベ 《水平線上のスコール》 1872-73年
東京富士美術館蔵
写真の誕生170年を記念して開催されるこの展覧会は、美術様式の展開の歴史にとどまることなく、視覚表象の歴史において絵画と写真がいかに深く関わりあってきたかを具体的な作品を通して解明することにより、近代美術史に新たな視野をもたらそうとするものです。
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