ウィリアム・ド・モーガンは、19世紀後半のデザイン活動において、ウィリアム・モリスと並ぶ活躍をみせた芸術家のひとりです。1839年、ロンドンに生 まれたド・モーガンは、大学で古典文学を学びますが、幼いころより抱き続けた美術への関心を断ち切れず、ロイヤル・アカデミーに入学して画家を志します。 しかし時を置かずしてその道を断念し、ステンド・グラスの制作に興味を抱くことになりました。また、ほぼ同時期に出会ったモリスの影響から、アーツ・アン ド・クラフツ運動に共感、以降、モリスが設立したモリス・マーシャル・フォークナー商会にステンド・グラスやタイルなどのデザインを提供するようになります。さらにド・モーガンはステンド・グラスの焼成中に光彩を発見、それがラスター彩と同じように輝いていたことから、陶においてラスター彩の再現を試み、 このことを契機としてタイルを含めた陶器制作に本格的に取り組むようになりました。その後、1907年には体力の衰えと経営的な問題から陶器制作から身を 引き、以降1917年に亡くなるまで小説家として活躍しましたが、彼の工房では、スタッフにより1911年までタイルの製造が続けられました。
ド・モーガンのタイルは、シンプルなものから始まり、植物や空想上の動物を大きくデフォルメし豊かな曲線で表現した線と、多彩な加飾を施したものへと進化していきます。彼の作品の特長とされるこれらのタイルは当時の中産階級に広く支持されました。
今回の展覧会では、ヴィクトリア朝の建築を華やかに彩ったタイルを中心に、壺や皿などウィリアム・ド・モーガンの作品を日本で初めて包括的にご紹介いたします。
《タイル「風変わりな鳥」》ド・モーガン財団蔵
photo©De Morgan Foundation
《タイル「モールバラ」》ド・モーガン財団蔵
photo©De Morgan Foundation
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