ロシア美術の殿堂、モスクワの国立トレチャコフ美術館。なかでも19世紀後半から20世紀初頭にかけてのロシア美術の作品は、創始者である19世紀のロシアの実業家、トレチャコフがとりわけ熱心に収集したもので、同時代の作家の作品が揃っている。それらは、祖国ロシアの歴史やロシアの誇りである様々な階層の人々の姿、そして自然を題材とした作品のみならず、フランスから伝わった印象派はリアリズムの動きと合流し、ロシアの印象派とも呼ぶべき作品も含まれる。
本展は、ロシア美術の代表的画家、レーピンやクラムスコイ、シーシキン等による、1850年代からロシア革命以前までの時代、人々の生活や、美しくも壮大なロシアの自然や美しい情景を描いた作品を中心に、著名人チェーホフ、トルストイ、ツルゲーネフ等の肖像画を加えて構成され、リアリズムから印象主義に至るロシア近代美術の流れをたどる日本で初めての試みである。
ニコライ・ゲー「文豪トルストイの肖像」1884年
© The State Tretyakov Gallery
イワン・シーシキン「森の散歩」1869年
© The State Tretyakov Gallery
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