京都・冷泉家邸内にある貴重な書物、古文書類を収める土蔵「御文庫(おぶんこ)」は、京の都を焼き尽くした天明の大火(1788)をはじめとする 災禍から免れ、歴代が800年の歴史の中で収集してきた古典籍を現代に伝えています。本展では、この「奇跡の文庫」とも呼べる、冷泉家のコレクションの精 髄を一挙に公開します。
国宝5点を含む国宝・重要文化財約400点、出品総数としては約500点という質量ともに最高の史料が出展されるのは、今回が初めてとなります。
長い歴史を通じて宮廷文化の華である和歌をリードしてきた冷泉家には、日本文学の本流が息づいています。実は、われわれが親しんでいる「古今和歌集」「源 氏物語」といった古典のテキストは、藤原定家書写本の流れをくむ本を活字にしたものです。本展では、名作の「源泉」を確かめることができます。
本展で紹介する藤原俊成、定家、為家、冷泉為相らの書籍は、歴代当主が座右に置いてきたもの。木版で文様を刷り込んだ唐紙、草木染め、墨流し、金や銀で 箔加工されたものなど、美しく装飾を施した料紙を用いて丁寧に仕立てられています。書と紙の繊細な風合いや個性的な色合わせなど、粋を極めた不易の美の輝きを心ゆくまでご堪能ください。
天皇や院の命で編まれた勅撰和歌集の撰者を輩出し、歌道師範を務めた冷泉家には、歴代天皇の書「宸翰(しんかん)」が多数、残されています。天皇の御衣 (おんぞ)を拝領し、その裂(きれ)を使って表装されているものもあり、宮廷が華麗な色彩に満ちていたことを今に伝えています。本展では、展示替えも含めて計約30点の宸翰を展示する予定です。
古来風躰抄 国宝 藤原俊成自筆 建久8年(1197)
順集 白描表紙本 重要文化財 筆者未詳 鎌倉時代中期
仁孝天皇宸翰和歌懐紙 江戸時代 天保14年(1843)
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