イラストレーター、デザイナー、エッセイストなど、多面的な活躍を見せる大橋歩は、その独自の感性のもと、常に時代が求める気分を先取りしてきたアーティストと言えるでしょう。
三重県に生まれ、多摩美術大学油絵科卒業後程なくして『平凡パンチ』の表紙を手がけますが、今や60年代若者文化の象徴とも言えるこの雑誌が与えた影響は大きく、大橋の表紙が醸し出す折々の時代の風俗への鋭敏な感受性が大いに注目を集めます。その後、ピンクハウスのポスターや三井銀行(当時)、東京ガスなどの広告にも積極的に参加し、我々の身近な生活に大橋の作品のイメージは浸透していきます。また、生活にまつわるエッセイの執筆も人気が高く、妥協しない洗練されたライフスタイルが女性の支持を集め、2002年に創刊した雑誌『Arne(アルネ)』では、企画・取材・編集をこなし、流行に敏感な新たな支持層を開拓しています。
本展覧会では、上京以前の10代の作品から新作のオブジェにいたるまで、大橋のキャリアを余すところなく紹介することを目的としています。イラストレーションや版画、オブジェなど、またこれまで大橋が関わったグッズや書籍なども一同に展示します。様々な顔を見せてくれる大橋歩の世界を体感していただけるまたとない機会となるに違いありません。
大橋歩『平凡パンチ女性』創刊号表紙原画 1966年
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