本展で発表される新作ビデオインスタレーション「翳りゆく部屋」は、岡田が演じる一人暮らしの老婆が住む荒れ放題のゴミ屋敷を舞台に展開されます。守るべき弱者と、義務と善意で手を差し伸べる人々が織り成す物語。
会場にはステージを設置し、ゴミ屋敷が<舞台>として再現されます。無人のステージに上がるのは鑑賞者自身です。人はそこに足を踏み入れることによって、これらの問題が誰にでも起こりうる、もはや他人事では済まされない時代に生きていることを、当事者の目線で体感することでしょう。
?いったいどこからどこまでが必要な「物」で「ゴミ」なのか。どこまでが必要な「人間」で「ゴミ」扱いされる人間なのか。自分がさっぱり「きちんと」していない人間なので、老いた自分がどのぐらいゴミっぽくなってしまうのか、自虐的な妄想を膨らませてしまう今日この頃なのであった。
でもどのような人生にもストーリーがあり、正しいことだけではなく間違いにも、盛者ではなく衰えゆくものにも、そこに一縷の美しさのようなものを見いだしてゆけたら...。などと考えていると、やっぱり「きちんと」した人間にはなれそうにはないのだけれど。 ?岡田裕子
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