美術作品とは果たして「見る」だけのものでしょうか。
優れた作品を前にしたとき、我々の裡に生じる感動とは、ただ視覚によってのみもたらされるものでしょうか。美術館に足を運ぶ皆さんは、作品をただ見ることだけを求めているのでしょうか。実際に作品の前に立って得られる視覚体験には、作品をただ「見る」こと以外に何が加わるのでしょうか。
これは「見ること」を改めて問い直す展覧会です。
会場で作品に囲まれながら、まずは眼をとじて、そして改めて眼を開き、それぞれの作品を鑑賞してください。といっても、会場に音や香りを発する作品が並んでいる訳ではありません。作品に手で触れていただく展覧会でもありません。会場を構成するのは「見ること」に強いこだわりをもって制作する、あるいは我々に「見ること」とは何かを考えさせる12作家の作品です。
これらの作品には単純な「わかり易さ」はないかもしれませんが、だからこそ、視覚を通して深く訴えかける力を持っているといえるでしょう。ただ「見る」だけに終わらない、美術作品の魅力をお楽しみください。
河口龍夫「空間の荷造り」1968年 個人蔵 撮影:斎藤さだむ
オディロン・ルドン「眼は奇妙な気球のように無限に向かう」1882年
岐阜県美術館蔵
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